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都市と循環:2024

[京都:日本]

都市と循環 | cccf.jp//

「循環」をキーワードにこれからの都市・文化・経済をつくるため、
様々な分野の識者が登壇するイベント「都市と循環」をダイジェスト・リポート。

Voice : 「都市と循環」実行委員 小泉寛明氏

イベント名に込められた想い

「都市と循環」という名前はちょっと矛盾した言葉で、そもそも都市って循環するんだろうか?みたいな、そういう意味合いが入っているんです。僕らが「都市」と想定しているところは、ザ・大阪、ザ・東京みたいないわゆる大都市だけじゃなくて、色々な地方都市や田舎の町も含んでいます。人間が集まって住む場所が、今後どういうふうに循環していけるのかというのを、色々な視点から考えてみようというイベントです。

 

多面的な視座で循環を捉える

全方位の視点で色々な分野の方に登壇していただいています。例えば「死と循環」というセッション。「何これ、都市に関係あるの?」と思われるかもしれませんが、そこを深堀していくことによって見えてくる死のあり方や生物の循環のメカニズム、哲学を理解しないと、まちがどういうふうに生き返るのか、死んでいくのかみたいなことが理解できないだろうなと思いました。もっと焦点を絞っていくと、お墓やお寺のあり方とか、老人ホームのあり方とか、そういうことも含めて、これから社会の中で変化を受け入れていく場所だとも思うので。

また、ショートトークで茅葺き職人の相良育弥さんが言っていましたが、循環というのは実はサークルではなくて、球体のかたちをしているのではないかと。平面ではなく球体と考えて、色々な角度から多面的に捉えることも大事だと思いました。

 

様々な循環が重なりあう

いろいろな分野の方の話を聞きましたが、違う分野でもつながっている話が多いという印象でした。例えば建築物の話であれば、それをどうやって分解するのかとか、分解してどう価値を作っていくのかとか。AIの時代にどういう風に建築物を設計して効率化させるのかという議論の一方で、もっと人間的な、いわゆる手作り的なものはどうなるのかとか。未来世代の視点を入れて議論しようとか、「More than Human」という人間以外の生物の視点を入れる会議を開こうみたいな議論もありました。

また、成長という概念について、「右肩上がりの成長ではなく縮小する成長」という話があれば、他のセッションでは「Less is More(少ない方が豊かである)」という意見が出たり。分野は違えど重なりあう話が多かったのが印象的でした。

 

近隣の国の仲間とつながる

個人的に感じるのは、日本全国各地でおそらく似たような場面に直面にしているのではないか、ということ。法律も社会背景も似通っていて、同じようなことが起きてると思うんです。もちろんそれを国内でシェアすることは大事なんですが、近隣の国に仲間を作り交流することで見えてくるものがあるんじゃないかと感じました。

今年は台湾の人たちを招聘したんですが、台湾も同じようなことをやっているんですよ。彼らの話を聞いてみてわかったのは、彼らの方がかなり深いところまでやっているということ。それはやっぱり会って触れてみないとわからないし、本当は実際に行ってみないとわからない。

「都市と循環」がそういうコミュニケーションの入り口、お互いの共有の入り口になれたら、という思いがあります。

 

人類はどうアップグレードするべきなのか

今は、生物の中で人間だけがちょっと過剰に活動している状況。だから周りの生物とか無生物とも環境を合わせていかないといけない。そのために人間が種として何をアップグレードするべきなのかを考える、というステージにあるんだと思います。

これからも「都市と循環」が熱量の集まる場であることは変わらないので、是非いろいろな方に参加していただいて、その叡智を共有してほしいです。自分たちが知っている情報だけではなく、多角的な視点からどう未来を捉えていくかということに興味がある方は、ぜひ参加していただければと思っています。